感想 My review(Written in Japanese)>映画 MOVIE: VICTOR FRANKENSTEIN

台湾にて英語音声、中国語字幕で鑑賞しました。
注意:セリフがちゃんと理解できてない所が多いです。

作中、一部お話のテンポが悪い所があったなあと感じました。
ただ、その他の要素(映像美、音楽、美術、俳優さん)は本当に最高でした。
日本語字幕なしということで今回セリフはあまり分からなかったのですが、俳優さんの表情や場面の雰囲気で大体の話の流れが掴めました。

映画、というよりは上質なイメージビデオ、という印象を受けました。 
登場人物のセリフや行動だけでなく、映像で表示される情報(小道具に衣装のデザインなど)総てがこの物語を語っていたと思います。

少し物語のテンポが良くない部分があったことに加え、ややグロテスクな場面もあり万人向けの映画ではないと感じました。
けれども出演している俳優さん、監督のセンス、隙のない美術、そしてスチームパンクなどなどが好きな方は観て損はないと思います。とてもオススメです。

話の筋>
 厳密に、原作小説に沿っているお話ではありませんでした。
小説を基にしたお話の、豪華なイメージビデオという感じかもしれないと、個人的には思いました。小説のダークな要素も残しつつ、現代のセンスをうまく混ぜて完成させた感じかと。BBCのSHERLOCKにイメージが近いかもしれません。
   そして怪物が主役ではなく、VictorとIgorを中心にお話が展開されてゆく印象を受けました。
彼らの関係性の変化や相性の良さ、意見の対立、そしていかに感性が近いのかという点がさりげなく、でも丁寧に描かれていました。

俳優さん>
– Victor Frankenstein (ジェームズ・マカヴォイ):
 豊かな感情表現に、見事なアクション。どれも最高でした。
 彼の感情表現は目立つものではなかったかもしれませんが、奥深く繊細でとても大好きです。
 キャラクターの悲しさ、寂しさ、明るいクレイジーさ、涙……その全てがこの作品の中で表現されていて、ジェームズの魅力をぎゅうぎゅうに詰め込んでいると思います。
 そしてアクションシーンは短かったのですが、走る、跳ねるなどなどとても動きが凄かったです。また演じている彼の姿がすごく楽しそうに見えました。

– Igor(ダニエル・ラドクリフ):
 映画鑑賞後「凄い、本当に凄かった」と何度も口に出してしまった程、彼の演技は本当に良かったです。
 繊細で豊かな感情表現、そして身体表現の豊かさ。彼は最初背中の曲がった男として登場するのですが、その姿に全く違和感がありませんでした。その後は背骨を矯正する治療を受けるのですが、その経過の歩き方、立ち方、全部が生まれつきのものの自然なものに見えました。
 そして彼が好きな女性を見つめる時の表情や、Victorに向ける困惑や親愛の表情、どれも丁寧かつしっかりと表されていて凄いなあと思いました。

– Lorelei(ジェシカ・ブラウン・フィンドレイ):
  Igorと同じサーカスで働いている女性を演じてらっしゃいました。
  美しく、自分の言葉で意見を述べる、芯の強い女性だなあという印象を受けました。

– Inspector Turpin(アンドリュー・スコット):
   ある事件をきっかけにVictorの行いを疑問に思い、彼をを捜査する刑事を演じてらっしゃいます。
  上品で知的、かつ澄んだ目の暗さが印象的な演技でした。
硬い声のトーン、目の動き……さり気ない仕草などから伝わってくる、彼の感情が豊かでとても大好きです。

– Finnegan(フレディ・フォックス):
  後半、Victorを支援する良家の青年です。
  やや威張った感じと真意の見えない言動が、彼の雰囲気にとても似合っていてすごく良かったなあと思いました。

衣装>
特にVictorとIgorは登場シーン毎にほとんど違う服を着ていたかも、と思うくらい衣装の種類が多かったです。
 また皆の服の色合いとしては、
  – VictorとIgor…基本抑えめの明るい色(ワイン色など)。ベストやスーツと白いシャツ。場所によっては白いシャツと黒のスーツの正装プラス黒い帽子。
 – Inspector Turpin…全体的にモノトーン。白いシャツと黒いスーツ、灰色のコートなど。黒いネクタイ?スカーフ?をリボン状に結んでいるのが印象的でした。
– Finnegan…薄めの青銅色が基調だったかと。全体的に高貴な感じ。コートにファーが付いているなど、豪華な印象を受けました。

登場人物の雰囲気や身分で色合いがデザインされている感じで、観てて楽しかったです。
またデザインも凝っていて、コートのファーやベストの刺繍など細部まで丁寧な造りだなあと感じました。

美術>
ヴィクターの創り出した怪物が生々しく、臓器の質感や動きなどとてもリアルでした。
私は血などを見るのが苦手なのでちょっと目を逸らしてしまいました……
ただ反面、怪物がグロテスクであればある程『ヴィクターのやろうとしていることはクレイジーなんだ』という実感が湧きました。

  また作品中の建物や小道具など、全てにおいて隅々まで丁寧に作られていて美しいのと同時に、お話の世界観を表現していてすごく好きです。
そして建物関係で記憶に残っているのは、窓から射し込む光です。光によって部屋を明るくしたり、逆に部屋の暗さを強調して登場人物の心情を表現していると感じました。

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